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森の恵みを農業に -Tagosunファーム・福間友英-

飯南町は面積の90%ほどが森林ですが、中山間地域でありながら農地も多くあります。

標高450mほどの高原地帯である飯南町は野菜やお米、果物など美味しい農作物がたくさん採れる地域でもあります。

そんな飯南の農作物の中でも僕が特に好きなのがサツマイモ。

甘みが強くてとろける焼き芋は、もはやスイーツのようです。

 

サツマイモを栽培している農家さんの中で福間さんは独特な栽培方法で、一段と甘いサツマイモを作っておられます。

どうしてこれだけ美味しいサツマイモを作ることができたのか聞いてみると、面白いお話を聞くことができました。

 

健康のために農業の道へ

 

福間さんは農業をやられる前は、美容・健康関係の化学工場に勤められていました。そこでの経験が今の農業に大きな影響を与えています。

 

化学工場に勤務されている従業員の方には、様々な化学薬品に触れていることもあってか、体調不良を起こす従業員の方がいたそうです。

お客さんが健康になるための商品を作っているはずなのに、作っている本人たちが不健康になるのはおかしいのではないか。そんな疑問を感じていた時にふと、生まれ育った飯南で昔、おばあちゃんが作っていたブドウがとても美味しかった記憶が蘇ったそうです。

健康をつくる、一番は“食”。

それを化学肥料に頼らない方法で作ってみたいと思い、Uターンし農業を始められました。

 

農薬、化学肥料に頼りたくないという気持ちをもって農業を始められたわけですが、始めてみると周りは農薬や化学肥料を使っている農家さんばかりで、教えてくれる人が誰もいなかった。しかも、独自の方法で農業を行なっていくため、助成金などももらうことができなかった。

だから、自分で一から全てやるしかなかった。

そんな、逆境の中で農業を始められました。

 

 

田畑の土を山の土に近づける

 

福間さんが目指す農業において、土づくりは大切な要素です。

本などを読み漁り、土づくりについて考え抜いた結果、

「山の土に近づける」という結論にたどりついたそうです。

山の土は、落ち葉を生物が食べて分解していくことで、山の栄養となり、また山を豊かにする。そういった循環を畑の中でも行ないたいと考えられたそうです。

 

その時、ちょうど飯南町にある島根県中山間地域研究センターの森林保護研究科で働いていたこともあり、山の土について様々知ることができたという幸運も重なって、土づくりを研究することができたようです。

 

独自の農法を初めて数年は、草がぼうぼうに生えてしまうこともあったようですが、2年前ぐらいから徐々に形になってきたそうです。

おいしい米・野菜をつくるために山にも手を加える

 

福間さんは自然の力を存分にいかす農業をやっていくうちに、次第に山の方にも意識がいくようになったそうです。

 

飯南町の山もかつては木を薪として使ったり、落ち葉を肥料として使ったりと、農業とも深くつながった存在でした。そして、適度に山を利用することで、山の中に陽の光が落ち、山も健康な状態を保っていました。

しかし、人が手を加えなくなると地面に日光が届かなくなり、山の土はジメジメした不健康な状態になってしまう。そうすると山から降りてくる川の水質が落ちてしまうなど、おいしい米、野菜を作ることができなくなってしまっていると。

そう考え福間さんは、山の手入れも徐々に始められています。

 

今、農業というと畑や田んぼという場所だけで行われていることのように感じますが、それ以外の周辺にある山などの自然も、福間さんの農業にとっては大切な要素なのだなと感じます。

 

これからの目標について福間さんに伺ってみると、

「自分のやっているような農業にチャレンジしたい人のハードルがまだ高いと思うんです。

僕はそのハードルを下げたいです。」

とおっしゃっていました。

そうすることで、飯南に限らず他の地域でも広がっていって、ひとりでも多くの健康づくりに貢献したいと考えておられました。

そんな福間さんの取り組みに僕たちも感銘を受けて、町内にある農林大学校の林業科の学生さんと共に、山の手入れのお手伝いをさせてもらっています。

全て昔のように、ほぼ身の回りにある自然だけを活用した農業に戻ればいいとは思いませんが、もう少し飯南の自然を生かした農業により戻すことで、飯南らしさや豊かな自然を守っていくことができるのではないかと感じています。

福間さんとのこれからの取り組みがますます楽しみになるインタビューでした。

 

飯南・縁の森 森脇

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